集中できない・頭がまわらない…それ「マミーブレイン」かもしれません

マミーブレインとは
産後の女性に起きる現象
産後、
「忘れっぽくなったな」「不注意気味だな」
と思ったことはありませんか。
昔は「産後ボケ」などと言われていた症状で、
医療用語ではないのですが、最近は
「マミーブレイン」と呼ばれています。
症状の例
注意力・集中力の低下
ぼーっとしてしまう時間が増えたり、うっかりミスが生じる。
物忘れ・忘れ物が増える
以前なら覚えていられたことをすぐ忘れたり、物の名前が出てこない。
マルチタスクが難しく感じる
同時並行で作業をするのが難しくなったり、時間がかかるようになる。
読解力・理解力の低下
文章や会話の内容が頭に入ってきにくかったり、コミュニケーションが取りにくくなったと感じる。
わたしの場合
以前には考えられないミスや変化に落ち込む
- 家の中でなくしものが増えたり、スーパーでもらった商品券(レシートについてるやつ)を誤って捨ててしまう
- 足元にいる子どもを見ながら料理するのがとても大変に感じる
- 煩雑な書類を書こうとしてるとき、子どもの泣き声がするとテレビの砂嵐みたいに頭の中がザーザーになって考えられなくなる
- 予定やこまごまとしたことを失念しやすい(メモが必須になった)
- マルチタスクが難しく、一つずつこなすしかない(残業できないのに)
- 仕事上のコミュニケーションが取りにくい(大人と話すのが下手になったと感じた)

商品券なんかいつも心待ちにして、大切にしてるからびっくりしたよ

プライベートのこともびっくりしたけど、子育てが大変だからだろうと思ってた。
子どもを守り育てることに神経使ってるから、
そのほかは疎かになるよね、キャパも小さくなるよねって。
でも復帰後仕事をしてみて本当にショックだった。
自分じゃないみたいで、
ずっとこのままなのかなという不安と恐怖があった。
いつまで続くの?
多くの人が、半年から2年で軽快していく
日常生活への影響の大きさや、
あまりの変化に戸惑いますが、
多くの人が2年ほどで軽快していくようです。
2年以上顕著に続く場合や、
- 眠れない
- 好きだったものが楽しめない
- 突然涙が出てくる
などの症状がある場合は、
産後うつの可能性もあります。
自己判断で決めつけず、
周囲の人や助産師さん・医療機関に相談しましょう。
マミーブレインの原因
マミーブレインの原因は、
実は明らかになっていません。
因果関係があるのではないかと言われているのが以下の3つです。
睡眠不足
研究結果あり!わたしたち、毎日徹夜状態?
4時間~6時間睡眠を2週間続けると、
2日連続で徹夜をした時と同レベルの認知能力の悪化がみられる
と報告している研究があります。
(2003年に行われた、ペンシルバニア大学とワシントン大学の研究)
Chronic restriction of sleep periods to 4 h or 6 h per night over 14 consecutive days resulted in significant cumulative, dose-dependent deficits in cognitive performance on all tasks.

これって、産後の女性の睡眠時間に近くない?

ママはその上に細切れ睡眠だよ…
通しで6時間って比較的よく眠れてそうな印象なのに、
4時間睡眠のグループとパフォーマンスが大差なかった
っていう事実もこわいよね…
睡眠不足が認知能力の低下を招くのは、
多くの研究で実証されています。
この実験では、
健康な48人の男女を集めてデータが取られました。
産後のママは言わずもがなですよね。
疲労の蓄積
(総務省データ)母親に集中しがちな家事・育児の負担
6歳未満の子供を持つ夫婦と子供の世帯について、夫と妻の1日当たりの家事関連時間をみると、夫は1時間 54 分、妻は7時間 28 分となっており、2016 年と比べると夫は 31 分の増加、妻は6分の減少となっています。
男性の育休が推奨され、
家事・育児参加が高まる昨今においても、
いまだに高い女性の負担。
疲労も睡眠同様、パフォーマンスを低下させる大きな要因となります。

上の総務省のPDFリンクにある、「図2 共働きか否かの別、夫・妻の家事関連時間の推移(調査票 A による結果)」も興味深いよ
脳の変化
研究結果あり!子育てに特化した脳へ
妊婦の脳は一時最大で 7 %萎縮することが報告されているそうです。
(ロンドン医科大学院・K. Ellisonによる報告)
参考文献: 平成27年度国際交流助成(海外渡航) 公益財団法人中山人間科学振興財団活動報告書 2015
「社会脳のヒューマンサイエンス」 中川 秀紀 東京電機大学工学部
一方で、
子どもの必要としていることや感情の状態を認識する能力、
子どもの健康と安全への潜在的な脅威を読み取る能力は高まる
ことも報告されています。
参考文献:Nature Neuroscience 2016.12.19 Autonomous University of Barcelona Erika Barba-Muller他

難しくなったこともあるけど、できるようになったこともあるということ。
そして一時的なものであるということ。
対処方法
できるだけ睡眠をとる
夜泣きや夜間授乳もあるこの月齢の子どもを育てるママに、
無理な話とは思いますが、
それでも睡眠をとるのは、
マミーブレインだけでなく
情緒の安定や心身の健康に重要となります。

家事はいったん忘れて、夜子どもと同じ時間に寝るようにしてからだいぶ楽になったよ
脳やこころを休ませる時間をつくる
子育てしていると自分の時間がなくて、
子どもが寝てからスマホをいじったりしていました。
特別したいことではないし、
寝つきが悪くなるのはわかっていても、
自分の時間を確保しないと自分が保てない
気がしていたんですね。

一日1話読める無料漫画がたのしみだった
短さもちょうどいい
音楽でも、ドラマでも、
お茶を飲むでもいいので、
自分の好きな時間を短時間でもとれると違う
と思います。

復帰してからは、一日中時間に追われて呼吸も早くなりがちなので、通勤途中などところどころで深呼吸をするように意識してるよ
周囲の手助けをもらう
パートナーや周囲に頼れる人はいますか?
職場でダブルチェックや相談に乗ってくれる人はいますか?
身近なマンパワーの確保が難しければ、
産後ケアや行政サービスなどを利用するのも手です。
マミーブレインは全員がなるわけではありませんが、
「頭が回らなくて」と相談すると、
職場で理解を示してくれる方もいるかもしれません。
日本では
「人様に迷惑をかけないように」
との意識が強いですよね。
「家のことはその家で解決」「自己責任」
という考えが、育児や介護、
近年注目されるヤングケアラーなどの問題の根本にあるような気がします。
迷惑をかけずに生きていけたらいいですが、
本来人は1人では生きていけないもの。
頼るところは頼って、
逆に自分が助けられるところは助けて、
支えあって生きていく方が、
社会的な動物として自然な姿であるのではないでしょうか。
文明の利器に助けてもらう
忘れっぽさやミスの対処には、
スマホのアラームやリマインダー機能など、
使えるものをガンガン使っていきましょう。
家事の負担を減らすのも有効です。

わかったようなことを言っても、私も日本社会で生きている人間。
人に頼るのは苦手で、こちらの方がハードルが低いです。
- 「自分でなくてはいけないこと」
- 「そうでないこと」
を分けて、後者はどんどんアウトソーシング!です。
衣類乾燥機を満を持して導入した時、

頑張れば干せるし、電気代もかかるし…
どうしてもの時だけにしよう。
と思って、1年ほどは、ほとんど干していました。

買った意味
頑張ればできる…服が傷む…楽することへの罪悪感…
今は、
じゃあ、川に洗濯に行く?
洗濯板でこする?!
と思って吹き飛ばしています。
1年ごしに毎日乾燥機をかけている今は、
超快適です!
人々の努力と叡智の結晶です。
せっかくですから恩恵にあずかりましょう。
(心構え)合格ラインを引き下げる
家事にしても、仕事にしても、
合格ラインを引き下げませんか?
産前と同じようにすることを求めるのは、
自分を苦しめてしまうかもしれません。
何足わらじを履くのでしょうか。
「わたし・娘」から、
「わたし・娘・妻」になり、
「わたし・娘・妻・母」になっているんです。
仕事をしている人は、
これに「職業人」も加わります。
四足歩行したって収まらないし、
速く走れなくたって当たり前です。
仕事は7割くらいでどうでしょう。
時短勤務の方は、5割でもいいくらい。
変化に落ち込んだり、自分を責めてしまわないように、
少し自分に優しくなりましょう。

最近は、登園と出勤ができたら合格!
みんな元気に1日が終われば花マルと思って生きてる。
まとめ…一時的なものだから安心して
最後までお読みいただきありがとうございました。
マミーブレインは人によって出方も様々ですが、
終わりがあるものです。
つらいですが、
ここで苦悩して人に頼ったり、取捨選択する経験は、
今後の家庭運営や仕事において役立つはずです。
(夫婦の家事分担や負担軽減、仕事における効率化など)
できることに目を向けて乗り切りましょう!