子どもの発達だけじゃない!親子にうれしい絵本の魅力
子育てって大変ですよね。
やることは無限にあるし、子どもの気分やイヤイヤ、
急に発生するトイレ等によって
簡単に崩壊するスケジュール…
決めていた時間に家を出れたら、それだけでもう200点
そんな日々のなかでも
「子どものためになることをしたい」
という気持ちが常にあります。
理想とはかけ離れた対応をして、反省会をすることも常にあります。
情報は溢れているけれど、
いまいち実践する余力や時間もないままに過ぎていって、
ある日感じる焦り…
- 子どもと向き合う時間は足りているだろうか。
- ちゃんと愛情が届いているだろうか。
- 習い事など何か始めたほうがいいのだろうか。
そして、
自分のことは後回しになりがちな子育て家庭。
- 美術館に行くなどきれいなものを眺める機会がない
- 好きなアーティストの情報に疎くなった
- 自分の時間がない
心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
そんな忙しい家庭にこそおすすめしたい、
絵本の魅力についてお話します。
絵本は複合的な芸術
複合的な芸術とは
「芸術」と聞くと、何が思い浮かぶでしょうか。
絵や音楽、彫刻などかもしれません。
わたしがまだ子どもだった頃、
好きだった音楽の先生がこんなことを言っていました。
わたしはやっぱり歌が一番好き。歌には歌詞があるから。
この言葉がとても印象深く残っています。
楽器が演奏する音楽は、
言葉を介さないがゆえに言語の壁を超えられる
…これはすばらしいことです。
でも
歌は音楽に加えて「詩」、
つまり「文学的な芸術」が加わっている。
「伝える相手」は
同じ言語を持つ人に限られてしまうけれど、
「伝える内容」が多くなる、
「複合的な芸術」
なのではないかと思いました。
複合的な芸術は敷居が高い?
ミュージカルやバレエ~再現できない~
「複合的な芸術」はほかに何があるでしょうか。
ミュージカルとか?
そうだよね!
ミュージカルには、
- 音楽
- 詩
- 物語
- 舞踏
- 照明
が含まれてると思う!バレエもかな。
これらはとても心動かされる芸術で、
子どもにもよい影響があると思います。
ぜひとも触れる機会をたくさんつくってあげたい。
でも、
身近で何度も触れられるとは言い難い
ものではないでしょうか。
映像作品になっているものを家で見ることもできますが、
生で触れるためには、
チケットを取って、出かけなくてはなりません。
多くの人の手によって成されているもので、
親が子どものために再現することはできません。
長時間静かに鑑賞はできないし、大体小学生以上からだよね
童謡~再現できるが限界がある~
童謡(音楽・詩)は比較的身近ですよね。
NHKのEテレなどは、さらに舞踏や照明も加わって、
子どもを惹きつける力が強いと思います。
大人もつい見入っちゃう
親が子どもに歌うのも、とても良いことだと言われますよね。
でも一般人の親は、
- たくさんの曲目を持っているわけでない
- 歌うのが苦手な人もいる
- 練習したり、新しく覚えるのは大変
なので、
再現する難易度・触れられる機会としては、
親の得手不得手もあると思います。
絵本はもっとも身近な「複合的な芸術」
絵本~文字が読めれば誰でもどこでも再現可能~
ここでやっと絵本の話になります。
絵本はどうでしょうか。
- 絵画
- 詩
- 物語
3つの芸術が含まれてる
そう!
そして再現性については、文字が読めたらOK!
しかも場所を選ばない。
好きな時に開いて、好きなだけ眺めて、
好きな時に閉じられる。
それも何度でも。
そのために出かけたり、
周囲に気遣って静かにしなくてもいい。
親が再現できて、
ありのままの反応で子どもが楽しめる。
控えめに言って最強では?
絵本(読み聞かせ)で育まれる力
教育的観点だけでなく、親子で純粋に絵本を楽しんでほしい
と願っていますが、絵本の魅力を伝えるうえで、期待できる発達について言及します。
想像力
絵本を読むとき、私たちの頭の中は、
絵と言葉で物語を進行させています。
コマ送りやアニメのように、
すべての動きが滑らかにつながっているわけではないし、
文字で一挙手一投足が説明されているわけでもありません。
でも
行間や絵と絵の間を想像して、頭の中にイメージ
が広がっているんですね。
絵を自在に動かしている、
という感覚かもしれません。
絵本の中に登場する
ものの手触り、音の高低…
今まで自分が経験したもの・出会ったものを総動員して、
見たこともない絵本の世界を
「こんな感じ」と想像しています。
絵本をとおして、
知らないうちに想像力を鍛えているんですね。
想像力は大人になっても大切といわれる能力だよね
経験が少ない赤ちゃんにも、想像力は育まれる
0歳の子どもに太鼓が出てくる絵本を読んでいた頃、
ある日おもちゃの太鼓が家に来ました。
以来本当に嬉しそうな顔で、
太鼓で遊ぶときは隣に絵本を並べて、
絵本を読んでいるときは太鼓を指さしていました。
そして数日後には
絵本の登場人物と同じリズムで叩くようになったのです。
想像していた絵本の世界がぐっと鮮明になり、
現実と絵本の世界がつながって、
想像が広がっていく喜びが見て取れました。
0~2歳の子どもには、身近なものが登場する絵本を。
りんごが出てくる絵本を読んでいる頃に、りんごを食す機会があれば隣に置いて見せるなどができるといいと思う
言語能力
言語能力とは一般的に、
- 読む
- 書く
- 聞く
- 話す
の4要素に分類されます。
未就学児と絵本の関係においては、
特に「聞く・話す」への影響が顕著であるため、
この点について言及します。
未来に読み書きの習得を助けてくれる面もあるよね
語彙力の発達
絵本に登場する言葉を覚えることで、
言葉の数が増えることは間違いないでしょう。
1歳半から2歳頃に「語彙爆発期」といって、
急速に新しい言葉の発語が増える時期があると言われています。
ただしこれは、
1歳半から2歳にひとりでに始まるのではありません。
生まれてからずっと、
シャワーのように浴びている言葉をコップにためていて、
ある日それがあふれ出したときに始まるものです。
そのため、絵本を読むことは、
- 言葉のシャワーを多くする
- 言葉のシャワーをより良質なものにする
- 言葉でのやり取りの楽しさを伝える
ことを助けてくれるでしょう。
コップの容量も、言葉への興味も、実際発してみようとする意欲も、個人差があるよ
目安より遅いからといって、親の関わりに理由を探さないこと
感情表現の発達
絵本の登場人物が喜んだり、泣いたり、怒ったり…
その様子を見て、
「こういう時は悲しい気持ちになるんだ」
「涙が出てこういう顔になるんだ」
と子どもは知っていきます。
「涙が出る」という表出にも、
- 悲しい
- 痛い
- 悔しい
- 嬉しい
- さみしい
…などなど色々な理由がありますよね。
こういったバリエーションを知り、
増やしていくことで、
「いま自分はどんな気持ちか」を知り、表現しやすくなります。
これは、
自分の中のモヤモヤを解消することを手伝ったり、
集団生活で楽しく過ごすことを助けてくれます。
大人にも言えることで、「怒り」のなかにどんな感情が隠れているか(悲しい、期待を裏切られた等)を知ると、気持ちが楽になったりするよ
集中力・思考力
夢中になることで育まれる
絵本を読んでもらうなかで、
どんどん想像が膨らみ、
子どもは絵本の世界へ入り込んでいきます。
「次はどうなるんだろう」
「こうかな?」など予想をして、
それが当たっていたり、はたまた予想外だったり。
夢中になるなかで自然と育まれるのが
集中力や思考力です。
とはいえ1
冊の本を読み切ることや静かに聞くことにこだわらなくて大丈夫。
途中で内容についてあれこれ聞いてくる場合は、
質問に応えてあげましょう。
「集中力をのばそうとする」のではなく、
「夢中になれる時間を大切にする」ことが、将来的な集中力アップにつながるよ
繰り返し読みたがる場合も応えてあげると◎
コミュニケーション能力
共感性や協調性
絵本の登場人物の気持ちを想像したり、
自分だったらどうしようかと考えたり…
その繰り返しのなかで
共感性が育まれています。
相手の気持ちを推し測ったり、
感情に寄り添う経験は、
今後社会で生きていく子どもたちの
「優しいコミュニケーションの基礎」
となってくれるでしょう。
また、
多様な登場人物によって、
必ずしも自分と同じ考えの人ばかりではない
という気付きを与えてくれることもあるかもしれません。
いじわるな役とか、オイオイって役も出てくる
自分とは異なる考えや立場の人を知り、尊重することは、
協調性やおもいやりの気持ちを育てる手助けにもなると考えられます。
絵本(読み聞かせ)が伝えるもの
これまで、絵本(読み聞かせ)で期待できる発達面について言及してきました。
以降は絵本を介して伝えたり、
共有できると思われるポイントについて語ります。
安心感・信頼感
絵本によってつくられる空間
大切な我が子。
「だいすきだよ」などの言葉も大切ですが、
態度で示すのも大切ではないでしょうか。
ぬくもりを感じながら親の声を身体で聴く。
身体的に触れ合っていなかったとしても、
同じ絵本の世界を共有している。
これは子どもにとって大きな安心感となります。
「絵本を読む」という行為は、
片手間では難しいです。
おもちゃで遊ぶ時のように
「遊んであげる」のとも、少し違います。
夢中になる度合いは少々違うかもしれませんが、
- 同じ絵本の世界を旅している。
- 絵本と自分だけに親の意識が注がれている。
そう感じられる時間が、
「つながり」や「信頼感」、「安心感」や「愛情」
を伝えるのではないでしょうか。
子どものためのツールに見えて、大人が子どもと同じ世界に入り込むためのツールでもあるのかも
文化
色彩感覚など言語化しにくい文化をも伝える
例えば、
- ごはんを食べる前後に「いただきます」「ごちそうさま」と言って、食べものや作ってくれた人に感謝する。
- 残さず食べる。
これは日本特有の文化です。
これらは絵本でなくても、
日々の生活で十分と思われるかもしれません。
では色彩感覚はどうでしょうか。
私たちは、色によって受けるイメージや印象があります。
- 白…潔白・清潔
- 緑…癒し、平和、エコ
とかかな?
そうだよね。
でも世界の色彩感覚はまた違うんだ。
- 白…不吉(中国)
- 緑…毒、不気味(欧米)
全然違うじゃん…
このように、
国や文化によって、色から受けるイメージは全く異なります。
気候や遺伝的要因もありますが、
文化や歴史からくる要因も大きいです。
教えられたわけでなくても、
私たちは知らないうちに日本の文化・色彩感覚を身につけているのですね。
絵本はその手助けができます。
海外の絵本や製品を見たときは新鮮に感じるよね
道徳
言って聞かせるより、体験。絵本は疑似体験ができる
「道徳」とは、
…うん
少し難しい話になってしまいましたが、
親としては、
- 人を傷つけない
- 人に親切に
- 約束を守る
などといった意識を持ってほしい
と願うのではないでしょうか。
でもこれらについて何度言われたって、
経験が伴わなければピンときません。
それに、
と思いませんか?
絵本はその世界に入り込んで想像するなかで、
疑似体験ができます。
疑似体験というと、実体験よりは劣るだろうと感じますが、
それでも
行動を起こした後の思考やその後の動機は変わってきます。
わかりやすいよう顕著な表にしたけれど、
右の「親の言いつけをもとにする行動」も「親への信頼性が上がる」という点でよい関わり。
両方があると、親への信頼と自己効力感どちらも上がってよいのでは。
美的感覚
美しいものを見ることはリラックス効果がある
自分の好きな風景や絵を見る(頭に浮かべる)ことは、
リラクゼーションの技法で有効とされています。
ストレスを軽減し、安心感を得たり、
ポジティブな感情を喚起させるからです。
大切な人に、美しいと思うもの(美意識)を
伝えたり、共有することはその効果を増幅させます。
推し活と似てるかも
美意識が育まれていく
子どもの無意識や記憶のなかにあるものが、
より美しく、優しかったら嬉しいですよね。
前述の色彩イメージ同様、絵本で見る絵も、
子どもにとっては、
「これが〝美しい”なんだ」と知っていく機会になります。
ぜひ大人目線でも「美しい」と思える絵本選びを!
大人も読んでて楽しいしね。
忙しいからこそ絵本を読もう!
子どもの発達だけでなく、親子のつながりや、リラックスにも
最後までお読みいただきありがとうございました。
絵本には本当に大きな魅力と力があるので、
忙しい家庭にこそぜひおすすめしたいです。
興味や理解度も把握できる
「この絵が好き」など、
推し作家さんができたり、親子で話ができるのも、
とても楽しい時間ですよ。
サイン会に出かける機会ができたり
また、
絵本を通じて、子どもの理解度や興味について知ることができる
のも大きなメリットです。
絵本ですてきな親子時間を!